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SIerと自社開発、どっちを選ぶ?IT業界5つの業態を採用担当が解説

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「IT企業を志望しています」——就活生からこう聞くことは、本当に多いです。ですが、ひとくちに「IT企業」と言っても、中身はまったく違います。同じ「システムエンジニア」という職種でも、会社によって仕事の進め方も、身につく力も、面接で聞かれることまで変わります。

私は現役のSEとして働きながら、10年以上にわたって採用の現場で面接官を務めてきました。その経験から言うと、業態の違いを分かっていない学生は、面接ですぐに分かります。逆に、業態を理解して「だからこの会社を選んだ」と語れる学生は、それだけで一歩抜けます。

この記事では、SIer・受託開発・自社サービス・社内SE・SESの違いを整理します。ただ、業態の名前を覚えるだけでは足りません。本当に大事なのは「その会社が、業界の中でどの立ち位置にいるか」です。そこで身につくスキルが変わり、面接で見られるポイントも変わります。採用側の視点から、そこまで踏み込んでお伝えします。

この記事で分かること

  • IT業界の5つの業態と、その違い
  • なぜIT業界には「外注」の構造があるのか
  • 立ち位置によって、身につきやすいスキルがどう変わるか
  • 業態ごとに、面接で聞かれることがどう変わるか
  • 「SIerは古い、自社開発がトレンド」と言われる理由と、その実際

IT業界の5つの業態

まず全体像を整理します。業態を分ける一番の分かれ目は、「誰のためにシステムを作るか」です。ここが違うと、仕事の性質がまるごと変わります。

業態誰のために作るか特徴
SIer
(システムインテグレータ)
顧客企業顧客の課題を聞き、システム全体をまとめて請け負う。要件定義から運用保守まで幅広く関わる
受託開発顧客企業依頼された内容を開発する。作る工程が中心
自社サービス
(自社開発)
自社(世の中のユーザー)自社のWebサービスやアプリを作り、外部に提供する
社内SE自社(社内の社員)事業会社の情報システム部門。自社の業務システムを導入・運用する
SES顧客企業技術者が顧客先に常駐して開発に加わる。案件ごとに現場が変わる

SIerと受託開発は、並ぶものではない

ここでひとつ、多くのサイトが曖昧にしている点をはっきりさせておきます。SIerと受託開発は、対立する分類ではありません。SIerの仕事の多くは、受託開発です。

「受託開発」は、顧客から依頼を受けて作るという取引の形を指す言葉です。一方「SIer」は、システム全体をまとめて請け負うという事業のやり方を指します。だから、SIerは受託開発をしている会社でもあります。

それでも言葉が使い分けられているのは、関わる範囲が違うからです。SIerと呼ばれる会社は、企画や要件定義から、機器の調達、構築、運用保守までを通して見ます。一方「受託開発会社」と呼ばれる会社は、作る工程を請けることが中心で、規模もWebサイトやアプリなど比較的小さいものを指すことが多いです。

言葉の使い分けは、あくまで慣習

「SIer」「受託開発」の線引きは、法律や制度で決まっているものではありません。会社の自称も含めて曖昧です。だからこそ、名前で判断せず、次章以降の「立ち位置」で見るのが確実です。

「客先常駐」と「派遣」は別のもの

もうひとつ、就活生が誤解しやすい点があります。SESや客先常駐と聞くと「派遣なのでは」と不安になる方がいますが、客先常駐は派遣とは違います

客先常駐は、自社の社員として、顧客のオフィスに席を置いて働く形です。雇用主も、評価するのも、給与を払うのも自社。指示系統も自社側にあります。働く場所が自社ビルではない、という違いです。ここを混同したまま「常駐のある会社は避けたい」と決めてしまうのは、もったいない話です。

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採用担当

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面接で「常駐はありますか」と聞かれることがありますが、聞き方で印象が変わります。「常駐は嫌なんですけど」と来ると、ネットの評判だけで判断している印象を持ちます。一方「常駐と請負で、働き方はどう違いますか」と聞かれると、こちらも丁寧に説明したくなります。不安なら、避けるのではなく確認してください。

業態名より大事なのは「外注構造のどこに立つか」

ここからが、この記事の本題です。業態の名前を覚えるより、その会社が業界の中でどの立ち位置にいるかを見た方が、仕事の中身が正確に分かります。

IT業界には、元請けが受注し、下請けに開発を出すという構造があります。「多重下請け」と呼ばれ、批判の的になることも多い仕組みです。この構造を批判する声を、就活中に目にした方も多いと思います。ですが、なぜこの構造が生まれるのかを説明している記事はほとんどありません。まずそこからお伝えします。

なぜ、開発を外に出すのか

理由は、案件の量が一定ではないからです。

システム開発の仕事は、大きな案件が動く時期と、落ち着く時期が確実にあります。ところが社員の人件費は、仕事の量に関係なくかかり続けます。自社に開発できる人材をたくさん抱えていると、案件が減ったときに、手が空いた人を抱えたまま給与を払うことになります。だから、開発は外に出す方が経営として安全なのです。

一方、開発を請ける会社は、技術者を常に抱えています。案件の波に合わせて人を出せる状態を保っていること自体が、提供している価値です。つまり、発注する側は「人を抱えるリスク」を外に出し、受注する側はそのリスクを引き受けている。役割が分かれているのです。

そして、大きな案件を元請けとして受けられる会社は限られます。発注元が数億円規模のシステムを任せるには、それまでの実績と信頼が必要です。この信頼は短期間では作れません。だから、信頼と実績で案件を取る会社と、技術者を抱えて開発を担う会社の棲み分けが生まれます。

多重下請けは、誰かが誰かを搾取するために作られた仕組みではありません。責任・信頼・人材のリスクを、それぞれ別の会社が引き受けている結果です。もちろん、階層が深くなるほど条件が厳しくなるという問題は現実にあります。ですが構造そのものは、理由があって成り立っています。

自社サービス企業も、すべてを自社で作っているわけではない

ここで、就活生が持ちやすい誤解をひとつ解いておきます。「自社開発の会社なら、全部自分たちで作っている」というイメージです。

実際には、そうではありません。自社サービスを持つ会社でも、サービスの中核となる部分は社内で開発し、それ以外は外に出すという切り分けをしているのが一般的です。社内の会計や人事といった業務システム、運用の監視、テスト、カスタマーサポートなどは、外部に任せることが多くあります。業務委託の技術者がチームに入っていることも珍しくありません。

理由は、先ほどとまったく同じです。コアの部分は自社に知見を溜めたいが、周辺まで人を抱えると固定費が膨らむ。だから外に出す。自社サービス企業も、同じ判断をしています。

つまり「多重下請けはSIer業界の悪しき慣習で、自社開発は健全」という対立の図式は、実態とはずれています。外注を使う構造は業界全体の仕組みで、違いはその会社が発注する側に立っているか、受注する側に立っているかだけです。

下請けでも、顧客と話す機会はある

「下請けに入ると、顧客の顔が見えないまま作業するだけになるのでは」という不安もあると思います。これも、実際とは少し違います。

システムの中身を一番よく知っているのは、実際に作っている技術者です。だから仕様を熟知した下請けの技術者が、エンドユーザーとの打ち合わせに出ることは、よくあります。元請けだけでは技術的な話に答えられないので、作っている人間が同席する方が話が早いのです。

ただし、常にそうとは限りません。案件や時期によっては打ち合わせに呼ばれず、降りてきた仕様を作るだけの期間もあります。「顧客と話せない」ではなく「案件によって変わる」というのが実際です。

階層は、会社で固定されない

もうひとつ大事なことがあります。「この会社は下請けだから」という見方は、あまり意味がありません。同じ会社が、案件によって元請けにも下請けにもなります。

参考までに、私の勤務先では社会インフラの会社から直接いただくプライム案件もあり、同時に大手SIerの2次受け・3次受けの案件も持っています。案件のうち客先常駐が3割、残りが請負や準委任です。ひとつの会社の中に、立ち位置の違う案件が混在しているのが実際の姿です。

だから会社を見るときは、階層のラベルではなく「その会社にはどんな案件があるか」で見るのが正確です。これは会社の外からは分かりにくいので、説明会や面接で聞くのが一番早いです。具体的な聞き方は、記事の後半でお伝えします。そもそも説明会で何を質問すればよいか分からない方は、以下の記事も参考にしてみてください。

立ち位置によって、育ちやすいスキルが変わる

では、立ち位置の違いは、働く人にとって何の違いになるのか。身につきやすいスキルが変わります。ここが、業態を選ぶうえで一番実質的な差です。

立ち位置育ちやすいスキル当てはまりやすい会社
発注する側・全体を見る側要件定義、設計、プロジェクト管理。顧客や関係者との折衝外注を使う会社(元請けのSIer、自社サービス企業など)
手を動かす側開発スキル。コードを書き、動くものを作る力下請け、外注を使わない元請け、受託開発会社

発注する側に立つと、自分でコードを書く時間は減ります。代わりに、何を作るかを決め、誰にどう任せ、期限と予算をどう守るかを考える仕事が増えます。設計とプロジェクト管理の経験は、この立場でこそ積めます

逆に手を動かす側にいると、開発の実力がつきます。決められた仕様を、期限内に、動く形にする。この経験を積み重ねた人は、技術者として確かな力を持ちます。どちらが上ということではなく、育つものが違います

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採用担当

現役採用担当の本音
「コードをたくさん書きたい」という学生に、上流中心の案件を任せると、しばらくして物足りなさを口にすることがあります。逆に「全体を動かしたい」という人が開発だけの現場に長くいると、これも合いません。入社後のミスマッチは、業態の名前ではなく、この立ち位置のズレで起きることが多いです。

SESと社内SEは、どこに入るか

この2つは、上の表に少し違う形で入ってきます。

SESは、基本的に手を動かす側です。ただ、他と違うのは、案件が終わるごとに現場が変わる点です。いろいろな業種・技術・チームを経験できるので、触れる技術の幅が広がりやすい。若いうちに幅広い環境を見られるのは、確かに強みです。

一方で、ひとつの領域に長く関わりにくいため、「この分野の専門家です」と言える深さは作りにくいという面もあります。設計やプロジェクト管理の経験も、入った現場で任されるかどうかに左右されます。

SIerの場合は、逆になりがちです。ひとつの顧客・ひとつのシステムに長く関わるため深さは出ますが、触れる技術の幅は狭くなりやすい。ただし、幅は自分の勉強で広げることができます。深さは環境に左右されますが、幅は自分で足せる。この点で、SIerの方が後から取り返しがつきやすいと私は感じています。

としあき
としあき

SESの会社の方が従業員数の多い大手が多いということもありますが、弊社(SIer)に応募される経験者の方の大半はSESに勤められている方であることは事実です。間口が広いので入りやすい業態ではありますが、慎重に選んで欲しいと思います。

社内SEは、発注する側に立ちます。自社が使うシステムをベンダーに発注し、管理する立場です。だから設計や管理の経験は積めます。

ただ、同じ管理スキルでも性質が違います。社内SEの仕事は、自社のお金でシステムを組む仕事です。つまり売上を生む側ではなく、コストを使う側。どう工数を抑えるか、どう予算内に収めるかが判断の中心になります。

私の勤務先には社内SEから転職してきた方が何人かいて、その理由として「社内の御用聞きになってしまい、やりがいを感じにくかった」という話をよく聞きます。構造上、そうなりやすい面はあります。無難に技術の仕事をしたい方には合いますが、「稼ぐ」という面白さは感じにくいかもしれません。ここは好みが分かれるところです。

自社サービスは、新規開発と改修で性質が違う

自社サービスについても、ひとつ補足があります。新しいサービスを立ち上げるフェーズと、すでにあるサービスを改善していくフェーズは、仕事の性質がまるで違います。

ゼロから新規サービスを作る仕事には、産みの苦しみと、それを乗り越える面白さの両方があります。一方、成熟したサービスの改善が担当になると、日々の仕事は既存機能の改修が中心です。これはこれで技術的に難しく、価値のある仕事ですが、「自分たちで新しいものを生み出す」というイメージとは、かなり違います。

そして、どのフェーズを担当するかは、入社時に選べるものではありません。有名なサービスを持つ会社ほど、すでにサービスは完成していて、仕事は改善が中心になりやすい。この点は、志望する前に知っておいた方がいいです。

としあき
としあき

「設計や管理をやりたいか」「手を動かしたいか」。まずはここを考えてみてください。
業態の名前を覚えるより、こちらの方がずっと役に立ちますよ。

業態が違うと、面接で聞かれることも変わる

ここまでの違いは、選考にも表れます。業態が違えば、面接で見られるポイントも変わります。同じ志望動機を全社に使い回すと、ここで噛み合わなくなります。

業態面接で特に見られること効きやすいアピール
SIer人と関わって仕事を進められるか。相手の話を聞き取れるかチームで動いた経験。相手の意図を確かめながら進めた話
受託開発手を動かすことへの意欲。決められた期限を守れるか何かに打ち込んだ経験。地道に続けた話
自社サービスそのサービスへの理解と関心。技術への自発的な興味サービスを実際に使った上での具体的な意見
社内SEその会社の事業そのものへの興味。社内調整ができるかなぜIT部門なのか、なぜこの業界なのかの両方が語れること
SES環境が変わることへの適応力。素直に学べるか新しい環境に飛び込んだ経験。人に聞いて解決した話

たとえば、SIerの面接で「一人で黙々と作業するのが得意です」と言われると、こちらは少し不安になります。逆に自社サービスの面接で「チームで調整するのが得意です」だけを話しても、技術への関心が見えません。同じ強みでも、業態によって刺さり方が変わるのです。

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採用担当

現役採用担当の本音
志望動機を聞いていて「これは他社にも同じことを言っているな」と感じる瞬間があります。分かるのは、うちの業態と噛み合っていないときです。「モノづくりがしたい」と熱く語られても、うちの仕事は顧客の課題を聞くところから始まるので、少しずれてしまう。業態を分かってくれている学生の言葉は、それだけで違って聞こえます。

志望動機の作り方そのものは、こちらの記事で詳しく解説しています。業態を理解したうえで読むと、より組み立てやすくなります。

「SIerは古い、自社開発がトレンド」は本当か

就活の情報を集めていると、「SIerは古い」「自社開発の方がいい」という話をよく目にすると思います。そう言われる理由には、それなりの根拠があります。

  • 給与レンジが見えやすい:自社サービス企業は待遇を公開していることが多く、高く見える
  • 技術の新しさ:自社サービス企業は技術を自由に選べる。SIerは顧客の環境に合わせるため、古い技術に触れる期間が長くなりやすい
  • コードを書けなくなる不安:SIerで経験を積むと設計や管理側に寄っていく。「作る仕事がしたいのに」という不満につながる

どれも、まったくの誤りではありません。多重下請けへの批判も、よく挙がる理由のひとつですが、これについては前の章でお伝えした通りです。外注の構造は業界全体の仕組みで、自社サービス企業も同じ判断をしています。SIerだけの問題ではありません。

そのうえで、この評判がどこから来ているのかを、ひとつお伝えしておきたいです。

「自社で作るのが主流」はアメリカの話

エンジニアのキャリアについて語られる話の多くは、アメリカ発の議論が元になっています。ところが日本とアメリカでは、エンジニアがどこで働いているかの構造が、ほぼ正反対です

エンジニアの所属先は、日米で逆転している

情報処理・通信に携わる人材のうち、IT企業に所属している割合は日本が73.6%、IT企業以外(事業会社など)が26.4%です。一方アメリカは35.1%対64.9%で、ほぼ逆の比率になっています。

しかも日本の比率は、2015年の72.0%対28.0%からほとんど変わっていません。

出典:IPA「DX白書2023」(日本は2020年国勢調査、米国は2021年職業雇用統計に基づく)

アメリカでは、エンジニアの3分の2が事業会社側にいて、自分たちで作るのが実際に主流です。だから「自社で開発するのが当たり前」という前提で議論が進みます。一方日本では、4分の3が顧客のためにシステムを作る側にいます

つまり「自社開発がトレンド」という話は、間違いというより別の国の構造を前提にした議論です。しかも日本の比率はこの5年でほぼ動いていません。「日本もこれから自社開発が主流になる」と考えて就活すると、実際にある求人の多くを最初から外してしまうことになります。

発信量の偏りも、評判を作っている

技術記事を書いたり、SNSで発信したりする人は、自社サービス企業に多く集まっています。理由は単純で、自分たちのサービスの話は外に出せるからです。技術ブログは採用広報にもなるので、会社としても発信を後押しします。

一方でSIerや受託の技術者は、顧客のシステムを扱っているため、仕事の内容をそのまま外に出せません。結果として、ネット上の情報量と実際の人数の比率は、まったく一致しないことになります。声の大きさを実態と勘違いしないよう、気をつけてください。

SIerは入口が地味で、出口が広い

では、SIerを選ぶ意味はどこにあるのか。採用側として一番大きいと思うのは、身につく力が、後のキャリアの選択肢を広げる方向に働く点です。

先ほどお伝えした通り、発注する側・全体を見る側に立つと、顧客と話して要件を固め、予算と納期に責任を持ち、複数の関係者を動かす経験が積めます。加えてSIerでは、仕事を広げていくのも技術者の役割です。営業がいる会社でも、営業が担うのは主にお金と契約まわり。「次はこういうこともできますよ」と顧客に提案し、案件を広げていくのは現場の技術者です。

この力は、転職市場で明確に評価されます。たとえばITコンサルタントは、SIerで上流工程とプロジェクト管理を経験した人材を積極的に採用しています。平均年収の水準で見ると、ITコンサルは業界の中でも上位に位置します。「古い」と言われる業態での経験が、市場で高く評価される道につながっているのです。

そして、この力は「顧客がいる側」でしか身につきにくいものです。顧客と折衝して要件を固める経験は、自社サービスの開発では積む機会が少ない。逆方向、つまり技術一本で来た後にこの経験を積み直すのは、簡単ではありません。

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採用担当

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正直に言うと、SIerの入口は地味です。最初は先輩の指示でシステムのテストを行ったり、設計書を読んだりする日々で、華やかさはありません。ただ数年経つと、顧客と直接話して案件を作れる人が出てきます。そこまで来ると、進める道はかなり広がります。派手に見える方を選ぶか、後で広がる方を選ぶか、という話だと思っています。

もちろん、これはSIerが一番だという話ではありません。作ることそのものが好きで、技術を深めていきたい方には、自社サービスや受託の方が合います。業態ごとに「出口」が違うことを知ったうえで選ぶことが大事です。

自分に合う業態を選ぶ3つの問い

ここまでの内容を、選ぶための問いに落とし込みます。次の3つに答えてみてください。

問い1 設計や管理をやりたいか、手を動かしたいか
全体を決めて動かす側に立ちたいなら元請けのSIer。作ることに集中したいなら受託開発や、開発を外に出さない会社。

問い2 広く経験したいか、深く関わりたいか
いろいろな現場を見たいならSES。ひとつの領域に長く関わりたいならSIerや自社サービス。

問い3 稼ぐ側に立ちたいか、支える側に立ちたいか
売上を作る仕事に関わりたいならSIer・受託・自社サービス。会社の中を支える働き方が合うなら社内SE。

3つとも、正解はありません。ただこの問いに自分の答えを持っているかどうかで、面接での言葉がまったく変わります。「IT業界に興味があります」ではなく「設計から関わって仕事を作っていきたいので、御社を志望しています」と言えるようになります。

会社の立ち位置を知るために、面接で聞くこと

会社の立ち位置は、ホームページを見ても分からないことが多いです。だから、面接や説明会で直接聞くのが一番確実です。次の3つを聞けば、その会社がどこに立っているかが見えます。

  • 元請けの案件はありますか。割合はどのくらいですか
  • 顧客と直接やり取りする機会はありますか
  • 入社後、どの工程を担当することが多いですか

この3つは、そのまま逆質問としても使えます。業態を踏まえた質問は、意欲の証明にもなります。答えづらそうにする会社なら、それも判断材料です。

もうひとつ確かめる方法は、インターンに参加することです。特に手を動かす実務体験型なら、その会社の仕事の中身が見えます。

としあき
としあき

階層や業態のラベルで会社を選り分けるより、「この会社にはどんな案件があるか」を聞いてみてください。
同じ会社の中に、いろいろな立ち位置の仕事が混ざっているものですよ。

まとめ

IT業界の業態の違いを、採用担当の視点から整理しました。

  • 業態は「誰のために作るか」で分かれる。なおSIerと受託開発は対立せず、含む関係
  • 客先常駐は派遣とは違う。自社の社員として顧客先で働く形
  • 外注の構造はリスクの分担から生まれる。自社サービス企業も全部を自社で作っているわけではない
  • 立ち位置で育つものが変わる。発注側なら設計と管理、手を動かす側なら開発スキル
  • 業態が違えば面接で見られるポイントも変わる。志望動機の使い回しは噛み合わない
  • 「自社で作るのが主流」はアメリカの構造を前提にした話。日本はエンジニアの4分の3がIT企業側にいる
  • SIerは入口が地味で、出口が広い。プロジェクトを動かす力は転職市場で評価される

業態の違いが分かると、「IT業界」という漠然とした志望が、具体的な選択に変わります。そしてその具体性は、そのまま面接での説得力になります。まずは3つの問いに、自分の答えを出してみてください。

業態が絞れたら、次は選考の準備です。面接対策はこちらの記事にまとめています。

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