就職活動の最初の関門ともいえるのが、会社説明会です。なんとなく参加して、話を聞いて帰るだけ……になっていませんか。
実は、説明会は「情報を仕入れ、疑問をその場で解消できる貴重な場」です。ここで何を聞き、何を持ち帰るかで、その後のエントリーシートや面接の質が大きく変わります。
この記事では、現役の採用担当の視点から、IT企業の説明会で「何を、どう質問すればいいか」に絞って解説します。
大前提:「企業選びの軸」を持って説明会に行く
質問のテクニックの前に、最も大切なことをお伝えします。それは、「企業選びの軸」を持った状態で説明会に参加するということです。
なぜなら、軸がないまま説明会に行くと、記事の冒頭で触れたような「なんとなく話を聞いて帰るだけ」になってしまうからです。質問を求められても、何を聞けばいいか思いつきません。
逆に、「自分はこういう働き方がしたい」「こういう環境を重視する」という軸さえあれば、質問は自然に生まれます。「自分の軸に照らして、この会社はどうなんだろう?」という疑問が、そのまま質問になるからです。

「質問が思いつかない」という人は、質問力がないのではなく、軸が定まっていないことがほとんどです。
軸さえあれば、質問は勝手に湧いてきます。
会社選びの軸の作り方そのものは、こちらの記事で詳しく解説しています。まだ軸が固まっていない方は、先に読んでおくと説明会が何倍も有意義になります。
軸を「質問リスト」に変えると、どこでも質問できる
軸を持ったら、次はそれを「質問リスト」にしておきます。これが、どの説明会に行っても質問できるようになる、いちばん確実な方法です。
やり方はシンプルです。
この方法の優れている点は、「何を質問しよう」と考える必要がなくなることです。リストの中で説明されなかったことを聞くだけなので、どの会社の説明会でも、確実に質問が用意できます。
しかも、これらは全部「自分が本当に知りたいこと」です。取ってつけた質問ではないので、自然で、かつ意欲も伝わります。
軸にプラスしたい「IT企業ならではの質問」4選
自分の軸から生まれる質問に加えて、IT企業だからこそ聞いておきたい項目があります。これらは入社後の働き方を大きく左右するのに、就活生が見落としがちなポイントです。
次の4つは、質問リストに必ず加えておくことをおすすめします。
①開発環境・使用言語
質問例:「主にどのようなプログラミング言語や開発環境を使われていますか?」
なぜ聞くか:使用言語は、その会社でどんな技術が身につくかを示します。また、入社までに何を勉強しておけばいいかの指針にもなります。そして何より、ここで聞いた言語名は、後の面接で「入社までにこの言語を準備したい」という強力な逆質問に使えます。
②開発手法(ウォーターフォール/アジャイル)
質問例:「開発は、ウォーターフォールとアジャイルのどちらが中心ですか?」
なぜ聞くか:開発手法によって、日々の仕事の進み方がまったく違います。ウォーターフォールは工程を順番に進める方式で、大規模・堅実な開発が多い傾向です。アジャイルは短い周期で作って改善を繰り返す方式で、スピード感のある現場が多い傾向です。どちらが自分に合うかを考える材料になり、「開発手法を理解している」という姿勢も示せます。
③顧客との関わり方
質問例:「お客様とは、直接打ち合わせをする機会が多いですか? それとも、何次請けかによって関わり方は変わりますか?」
なぜ聞くか:同じBtoB(企業向け)でも、エンドユーザーの会社と直接打ち合わせをするのか、何次請けの立場で作業だけを担うのかで、仕事のやりがいや裁量が大きく変わります。上流から関わりたいのか、技術に集中したいのか。自分の希望と照らし合わせるために、重要な確認ポイントです。
④業態とチーム構成
質問例:「案件では、自社のメンバーは何名くらいのチームで動くことが多いですか?」
なぜ聞くか:請負・派遣・客先常駐といった業態によって、一緒に働くメンバーの構成が変わります。自社のメンバーが多いチームなら、先輩に相談しやすく、知識も蓄積しやすい環境です。逆に一人で客先に常駐する形が多い場合、早くから自立を求められます。未経験者にとっては、最初の環境として特に気になるポイントのはずです。
採用担当の本音
この4つを説明会で聞いてくる学生は、正直かなり少ないです。だからこそ、聞かれると「業界をよく理解しているな」と印象に残ります。特に開発手法や業態を意識できている人は、入社後のイメージがしっかりできている証拠なので、こちらも安心します。
質問リストは「軸の整理」にも役立つ
ここまでで質問項目を並べてきましたが、実はこの作業にはもう一つの効用があります。それは、「自分の軸を整理できる」ことです。
質問候補を書き出していくと、こういう気づきが出てきます。
- 「開発手法は、正直あまり気にならないな」→ これは自分の軸ではない
- 「顧客と直接関われるかは、すごく気になる」→ これは重要な軸だ
このように、質問項目に対して「気になる/気にならない」を仕分けると、自分が本当に大切にしている軸が浮かび上がってきます。逆に、興味が持てない項目は、自分にとって優先度が低いということ。この整理が、志望動機や企業選びの精度を上げてくれます。
つまり、質問を考える作業は、そのまま自己分析にもなっているのです。説明会の準備は、面接対策であると同時に、自分の軸を鍛える機会でもあります。
質問できない状況もある。そのときは面接で
準備をしても、質問者が多くて時間切れになったり、そもそも質疑応答の時間がなかったりすることもあります。その場合は、無理に質問しなくて構いません。
チェックが付かずに残った項目は、面接の逆質問で「説明会では時間の都合で伺えなかったのですが」と前置きして聞けばOKです。用意した質問リストは、説明会で使い切れなくても、面接まで持ち越して活用できます。
まとめ
IT企業の説明会は、話を聞くだけの場ではなく、自分の軸に照らして企業を見極める場です。
- まず「企業選びの軸」を持って参加する。軸があれば質問は自然に生まれる
- 軸を質問リストにし、説明で埋まらなかった項目を質問する
- IT特有の4項目(開発環境・言語/開発手法/顧客との関わり/業態とチーム構成)を加える
- 質問項目の仕分けは、そのまま「自分の軸の整理」になる
- 聞けなかった項目は、面接の逆質問に持ち越せる
「なんとなく参加する説明会」から「軸を持って臨む説明会」へ。この差が、志望動機の説得力や面接での深い質問につながり、他の就活生と大きく差をつけます。
説明会で仕入れた情報を面接でどう活かすかは、逆質問の記事で詳しく解説しています。あわせてどうぞ。


